日本の病院が赤字経営に陥るのはなぜなのか?




日本の病院は、その約4割が赤字と言われています。中には7割という過激なデータもあります。院内が患者で溢れている光景が目に焼き付いている者にとって、さぞ儲かっているのだろうと思いがちですが、実態は半数程度が赤字とはどういう訳なのでしょう。最大の原因は、政府の医療費抑制政策にあると言えます。診療報酬の事実上の引き下げ、医学部定員を増やさない医師数据え置き政策により経営は悪化し、医師不足から不採算医療科の閉鎖を招き、更に赤字経営に拍車を掛ける悪循環へと至っているのです。

これは地方での話と捉えがちですが、東京でも内情は同じです。都心では医療事業以外の不動産収入などで多角経営をいているが故に、倒産せずに済んでいるに過ぎないのです。このまま赤字を垂れ流し続ければどうなるかは、火を見るよりも明らかです。また世界的に見た場合、単位人口当たりの日本の医療機関の数は2位韓国を抑えてダントツ1位で、これも広い意味で赤字経営に繋がっていると言えます。つまり同じ地域に重複する診療科が少なからず存在し、非効率な状態となっているのです。

最新機器を導入した筈の診療科が患者の奪い合いで収益を上げられず、一方で診療報酬の低い診療科を切り捨ててしまったことで、その地区には当該患者が多くいるのに診察が受けられないという状況が、赤字を膨らませる要因になっているのです。その点EU諸国、中でもドイツやフランスなどは横の連携が上手く取れており、その地域に不必要な重複診療科ができないようコントロールしていますから、効率的な医療が可能となっており、大多数が黒字経営を続けています。

これからの日本は、まず実情に合った診療報酬の引き上げに加え、一部患者からの医療費の値上げも必要です。また医師をもっと積極的に増やし、誤診を繰り返す医師を排除するくらいの淘汰を促さなくてはなりません。更には共倒れを防ぐ為に、無軌道的な建設を抑制するルール作りを政府主導で展開する必要もあるといえます。

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